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2005年3月25日版

 

 

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Vol.6

班内HP担当 山崎杏佳・栗沢 学


中村靖之介、公演便り初登場!

◆千穐楽〜そして秋の公演に向けて◆

 正月3日から京都南座での公演、それから四国巡演と続き、2月半ばに帰京、早速の講師の仕事や期限が迫った原稿を3本仕上げ、これを書いています。
  まず始めに、石田君、2003年5月の東京の国立劇場公演の時から、舞台助手をしてもらってとても助かった。有り難う。
  僕が、鰹売り新吉役で花道から出る前に、草鞋、飯台水桶、まな板、かつおの周りに霧吹きで水を噴きかけてくれる....僕はそれを担いで売り声をあげて出る....後から出てきた、新三役の中村梅雀君が呼び止めてかつおを買う....舞台に入り、かつおを取り出し水に濡れてキラキラ光るまな板の上に乗せると....初鰹売りの実感が湧いてくる....そして鰹をさばく。
  梅雀君が、舞台に滴り落ちた水が、とても感じが良かったと言っていたからその効果も甚大だったかな。
  正月の舞台でのかつお売りが、季節柄お客様にどう受け取ってもらえるかが一番心配だったが、幸いな事に、季節的な違和感は感じられなかったという感想が多くあったそうだから、先ずはめでたしめでたしかな。
  小道具方の熊坂正和さんも、水をたっぷり含ませたヘチマを毎度支度してくれた。その水を含んだヘチマで包丁とまな板を拭くときに、一度さっと水切りすると舞台に水が跳ねる....そうして初夏の初鰹の感覚が味わえる。
  かつおのさばきは、自宅近所の玉寿司さんがお店の休みの日に、わざわざ鰹を一本仕入れてくれて、僕にさばきを教えてくれた。
  僕は実生活感覚で舞台が勤められることが、とても大切だと思っている。
  かつおの売り声や仕草を、松竹歌舞伎の俳優さんの記録ビデオで勉強させて貰った。「髪結新三」は数多く上演されているから多くの先鞭がある。それだけに初演の我々は、手本から多くを学び、その上で自分のものに仕上げなければならない。

 それと、日課として稽古した「世話の立ち回り」も続けたいね、若手の皆で。今回はやっと手順が身についたという段階だった。これからの旅公演の中で積み重ねていきたい。僕の書いた「世話の立ち回り」の本を詳しく読めば、どのような気持ちで、どのように動くのか、どのように筋肉を鍛えなければならないかが分かってもらえると思う。世話の立ち回りは、見た目は自然な戦いの様子だから、簡単に出来そうに見える。ところが、体全体の筋肉を、大きくも小さくも自在に動かせるような肉体訓練が必要なのだ。
  秋にはまた、皆でやれることを楽しみにしているよ。旅公演中に74歳の誕生日も来ることだし....僕も大いに頑張るさ! 

【中村靖之介 記】

◆僕にとっての靖之介さん◆

靖之介さんに初めてお会いしたのは、私が前進座の養成所に入所して間もなく、立ち回りの授業のとき。
授業内容は入座したら必ず修めなければ、立ち回りについてはそのあと何も解らなくなるほど大切な、「時代の立ち回り」。
今ではなんでもなく振るっている木刀が、まだ片手では重くてとにかく持て余していたのが思い出されます。
少ない授業日数で一年が経ち、その後、初舞台の「法界坊」「蓮如」「一本刀土俵入」「旅の終りに」そしてこの度の「髪結新三」でご一緒する機会がありました。
その都度、身体の使い方や、台詞をアドバイスしていただき、「型」を手本として、普段のままでは超えられない役の壁に手掛かりをつけていただき、「髪結新三」では、現代語育ちの我々若手に、一言一句丁寧に江戸の言葉遣いや、リアルな呼吸の、「世話の立ち回り」をご指導してくださったりと、大変お世話になりました。その都度、ちょっとした身体の使い方や、芝居の種類別の台詞の在り方をアドバイスしていただき、一人では超えられない役の壁を、自分とは別の角度から見て手掛かりをつけて扶けて頂いた事は、大きな財産です。
今回、助手に就いた事で、普段からの在り方や、無意識の欠点もご指摘頂いたり、私が生まれる以前の緒先輩がたのお話も伺うことができました。
誰に限らず、その時々に触れたひとから何を受け継ぎ、また紡いでゆくのか。
大切な事を教えて頂きました。

【石田聡 記】

※サムネイル写真をクリックすると拡大表示されます。

 


■ 「佐賀町居酒屋の場」 圭史の弥太五郎源七、矢之輔の居酒屋亭主 三右衛門、靖之介の女房 さが。
■ 楽屋にて、靖之介さんと石田くん。
■ 四国巡演から家主長兵衛は津田恵一が勤めました。
■ 角度を変えてもう一枚。
■ 前回から持ち越しておりました中橋くんの勇姿、ご覧ください。
▲画像をクリックしてお入りください。
       


 


 


 
 
 
 
   
 

   
 
 
 
 

髪結新三


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