「出雲の阿国」稽古場日誌

いよいよ当出雲の阿国班も、公演日程が中日を過ぎ、三月末にしてようやく春めいてきた陽射しに、冬物衣類をもてあます日がだんだん増えてきました。
こんにちは、石田 聡です。
今回は、ステージをかさねて勢いに乗ってきた「たたらの踊り」をはじめ、劇中随所にちりばめられた、踊りの稽古風景を交えてお送りしたいと思います。



今回の稽古は、途中、出演者の約半数が大阪公演「お登勢」に出演し、帰京後休むまもなく参加するという、つまり、それまでは代役だらけの稽古場でした。
メインキャストが過半数代役ということで、「あのひとほんとは何の役だっけ?」的な雰囲気も漂いつつ、新たな「阿国」の世界は織り上げられてゆきました。そして大阪から帰ってきたメンバーが加わって、新作として生命をふきこまれたのです。
音楽、振り付けも新しくなった事で、稽古場の集中度はさらに高まり,新しいものを創るよろこびは、「銭では買えん程の物が残ることもある」という伝介の台詞そのものでした。
そして特筆すべきは、連日の朝から晩までの稽古に加えて、歌と踊りのレッスン。やさしく厳しい先生お二方のおかげで、新作ならではの心地よく引き締まった空気を、初日を開けるまでずっと持続できたことには感謝の念に耐えません。
忘れられないのは深夜にまで及ぶレコーディング。電車も無くなり車で帰ることにはなりましたが、こんな苦労を共有したことが、阿国一座をはじめ班全体の意識の統一につながったと信じています。この調子で無事千秋楽を迎えたいものです。

 

振り付けをしていただいた 吾妻寛穂師匠のご提案で、客席を通る際のシミュレーションをしました。 こちらはオープニングの登場シーン。客席から舞台へ向かっています。
クライマックスに阿国を囲んでのの「たたらの踊り」。
たたらの踊りの最後の決めポーズ。かっこいい!
深夜にまで及んだレコーディングのスタジオにて。まだまだ元気!