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語るは、消えることのない民衆の憤りと悲しみであった。
伝説の説経師たちが帰ってくる―――

 ものがたり 


平将門の孫、奥州五十四郡の主、岩城判官正氏はみかどの勘気をこうむり、
筑紫の国(九州)太宰府に流人の身。
妻の玉木は、あんじゅとづし王を伴ない、乳母を供に、夫の安否をたずね、
みかどの許しをこうため、京へ向かって旅立ちます。
ところが、越後の国(新潟県)直井の浦(直江津)にさしかかった時、
人買いの山岡太夫にだまされ、玉木と乳母は佐渡へ、
あんじゅとづし王は丹後の国のさんしょう太夫のもとへ、
別れ別れに売られてしまいます。
さんしょう太夫に売られた姉弟は、名も「しのぶ」「わすれぐさ」と改められ、
なれぬ汐汲みと柴刈りに追いたてられ、つらい悲しい日々を送るのでした。
ある日、太夫と息子・三郎のむごい仕打ちに耐えかねたあんじゅは、肌の守りの地蔵菩薩の加護と、
仲間の奴婢たちの助けを借りて、づし王を逃がします―――

森鴎外の小説でおなじみの“あんじゅとづし王”の物語。1974年に劇化。
しかし、前進座の『さんしょう太夫』は森鴎外作とは違って、
中世に語られた原話・“説経節”より劇化しています。
お芝居の構成も、漂泊の説経師たちが現れ、日本古来の楽器の生演奏にのせて、
物語を語るというスタイルをとっています。
翌年には芸術際優秀賞を受賞した前進座の代表作の1本です。

説経節とは、中世の頃、人の多く集まる社寺の前など街頭で、
庶民相手に仏の教えを広めるために語られた物語、節談説経。
当時、仏典そのものを聞かせても理解することが難しく、
物語に仮託して伝えるという方法をとっていました