『棒しばり』『芝浜の革財布』

 

かいせつ・あらすじ 

棒しばり かいせつ・あらすじ

 

かいせつ

『棒しばり』は、岡本柿紅が同名の能狂言をもとに、六代目尾上菊五郎と七代目坂東三津五郎にあてはめて書き下ろした舞踊劇。初演は大正五年。
 舞踊の名手二人の手を縛って躍らせるという皮肉な趣向にねらいがある。
 前進座では、昭和三十年、坂東三津之丞師の指導で、橘小三郎(のちの藤川武左衛門)・中村公三郎・坂東秀弥らで初演しました。

あらすじ
 所用のため屋敷を留守にする大名は、召使いの太郎冠者と次郎冠者が底ぬけの酒好きなので、大事な酒蔵が心配でならない。

 

そこで一策を案じた大名は、まず次郎冠者の両手を棒にくくりつけ、ついで太郎冠者を後手に縛りあげたうえで出かけていく。だが二人は、意地でも酒を飲んでやろうと酒蔵へやってきて、さて……。

 

芝嶋の革財布 かいせつ・あらすじ

 

かいせつ

 圓朝作、極め付きの人情噺『芝浜』を舞台化。江戸庶民の暮らしと風情を丁寧に視覚化しつつ、むだのない話の運びで楽しませる前進座の世話物。いつの時代も邪悪さと善良さを行きつ戻りつしてしまう人の心。軽妙なやりとりのなか、夫婦が真の情愛を通わせてゆく様は心を打ちます。矢之輔・辰三郎のコンビにご期待下さい。

あらすじ
貧乏暮らしのうえにあとさき考えない呑んべえな魚屋の熊五郎は、それがもとで、にっちもさっちもいかなくなっていました。女房のお春に、これからは性根を入れかえて一生懸命働くと誓って証文をしたためます。明くる朝、心を入れかえて出かけた浜辺で、足に引っかかった革財布には、何と小判が。誓いのことはどこへやら、長屋の連中を集めて飲めや唄えの大騒ぎ。果ては酔っぱらって正体なく寝込んでしまいます。翌朝起きた熊五郎が、お春に革財布のことをたずねるのですが……。