かいせつ・あらすじ

操り三番叟

 「三番叟」は、おめでたい場で舞われるご祝儀の踊り。歌舞伎にいくつもの〝三番叟もの〟がありますが、この『操り三番叟』はとりわけ人気の高い一作です。
踊り手が糸操り人形になって踊るという奇抜な趣向で、だらりと両手をさげていた人形が踊りだし、途中糸がもつれクルクル回って倒れたり……。
新春の幕開けに相応しい、躍動的でユーモラスな一幕をお楽しみ下さい。

 

芝浜の革財布

円朝作の極め付けの人情噺『芝浜』を舞台化。江戸庶民の暮らしと風情を丁寧に視覚化しつつ、むだのない話の運びで楽しませる前進座の世話物。
いつの時代も邪悪さと善良さを行きつ戻りつしてしまう人の心。軽妙なやりとりのなか、夫婦が真の情愛を通わせゆく様は心を打ちます。矢之輔・辰三郎のコンビにご期待下さい。


【あらすじ】

貧乏暮らしのうえに、あとさき考えない呑んべえな魚屋の熊五郎は、それがもとでにっちもさっちもいかなくなっていました。
女房のお春に、これからは性根を入れかえて一生懸命働くと誓って証文をしたためます。明くる朝、心を入れかえて出かけた浜辺で、足に引っかかった革財布には何と小判が。
誓いのことはどこへやら、長屋の連中を集めて飲めや唄への大騒ぎ。果ては酔っぱらって正体なく寝込んでしまいます。翌朝起きた熊五郎が、お春に革財布のことをたずねるのですが……。