あらすじ

時は幕末、明日には江戸城を官軍に明け渡すという日―。
天璋院(篤姫)は、奥女中一同に退出を指示。ところが、誰もいなくなったはずの大奥に、何故か居残ってしまった奥女中が五人と猫が一匹……。

天璋院付呉服之間勤めのお針子【りつ】は、十余年もの間心血を注いできた仕事場を去りがたく、逡巡していました。そこに現れた御膳所の御仲居【お蛸】、そして御三之間の【ちか】とともに、天璋院の愛描【サト姫】を探すうち、さらに御中臈の【ふき】、そして四人への敵対心を剥き出しにする京方(静寛院宮付)のお針子【もみぢ】に出会います。

サト姫に導かれ城内を彷徨いながら、役職も出自もまったく違う五人が、それまでの人生を語り合い、大奥最後の一日を共に過ごすことに…。大奥に生きた女たちの喜びや悲しみに思いを馳せるサト姫は、そんな彼女たちをからかい、翻弄しながらも、見守り励ますのでした。

「職場」であり「家」であった大奥を突然追い出されることになり、途方に暮れて立ちすくんでしまった五人が、激動する時代に翻弄される理不尽を恨みながらも、生きるために前を向く姿は、現代を生きる全ての女性たちの、そしてがんばる男性たちの背中をも、ポンとたたいて励まし、歩き出す勇気を与えてくれることでしょう。

 

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